【2022イタリア・ボローニャ国際絵本原画展】@西宮市大谷記念美術館。丁寧でぶあつい作品が充実の展覧会でした。

2022イタリアボローニャ国際絵本原画展 西宮市立大谷記念美術館
テレージア・フィロヴァー(スロヴァキア)《ベノ》

西宮市大谷美術館でことしもボローニャ国際絵本原画展が開催されています。日曜日お昼前にゆきましたが、空いていて見やすく、見ごたえのある作品がいっぱいです。

目次

西宮市大谷記念美術館

西宮市大谷記念美術館は、阪神電車 香櫨園駅から南西に徒歩5分ほど。
駅の海側に出て阪神高速の下をくぐって住宅街の中をゆくと、一見住宅のような美術館があります。
以前はホントに靴を脱いで暗い部屋の中に入る家のような美術館でしたが、今は普通の美術館です。
昭和電極(現SECカーボン(株))社長の大谷さんが美術品コレクションをおうちごと西宮市に寄贈され、開館したそうです。

ボローニャ国際絵本原画展

イタリアボローニャで子どもの本専門の国際見本市「ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア」が毎年開かれ、同時に絵本原画コンクールが開催されます。
コンクールはコロナ禍になってからはオンライン応募となり、今年は過去最多の応募数だったとのこと。
輸送費や梱包の手間、それらにかかる時間も省かれて、平等でとてもいいことですよね。
ボローニャ国際絵本原画展は、絵本原画コンクールの入選作品の展覧会。
40年以上西宮市大谷記念美術館で開催されています。
わたしは今回10年以上ぶりに見に行きました。
デジタルのペタンとした作品が多くて、「もういいか」って感じで見に行かなくなっていたのですが、
コロナもあったしそろそろ傾向がかわっているのでは?と思っていってみました。

展覧会は、入選した原画が各絵本5点展示されています。
子どもが見やすいように(だと思う)普通の展覧会より低い位置に。
絵本の文章は、原画の下に添えられています。
写真撮影禁止なのでゆっくりみることができます。

アジアの作家

展覧会を見てまず思ったのはアジアの作家が多いなあ~ってことです。

展覧会チラシ ユー・チーチュン(台湾)《黒ネコ、魚市場に行く》

以前は「ヨーロッパの作家が多い展覧会」というイメージだったのですが、10年以上経つとだいぶかわっていました。
反対に「ヨーロッパ以外の作家」が多いという印象になりました。
各国の経済状況なんかもあるのかもしれませんが、オンラインになってイタリアと物理的な距離があっても応募しやすくなり、アジアに潜んでいた力ある作家さんが表に出てきたということでしょうか。

わたしはとくに韓国の作家さんたちの作品がおもしろかった!
環境や平和など社会の問題をストレートにとりあげて、わかりやすく、センス良く提示してくれます。
やさしいイラストレーションでもキリっとしていて、どこかドライなところがある。
作品によっては現物の絵本が展示されていて(最後の展示室にコーナーあり)、印刷されて文字が入るとこうなるのか…と顛末がわかります。
韓国の絵本はもちろんハングルが印刷されています。
絵本のように文字が少なめの場合、とてもきれいにアクセントになる文字だなあと思いました。
文字とイラストレーションの関係がよい韓国の絵本なのでした。
(読んでも意味はわかりませんが)
ISBNコードがわかる本は、Amazonで買えるかな~と検索しましたがヒットしませんでした。
まだ取り扱いがないんですね。残念。

展覧会ポスター ナ・イルソン(韓国)《ぼくの木、プルミ》

背景がぶあつい作品

デジタルのペタンとした作品や既視感たっぷりの安心の作品がありませんでした。
デジタルで編集加工してあっても、素材は手作業でとても手間のかかったものばかり。
各種コラージュや刺しゅう・アップリケ、様々な技法での手のこんだテクスチャ…クラフトの展覧会を見に来たような。
表面は普通の絵だけれど、アイデアがおもしろ~い!というのもたくさんあります。
こんな濃厚な絵、印刷して絵本になったらどうなるんだろう…という芸術作品みたいなのもたくさんありました。

すごい充実感で展示室を出たら、絵本を売っているコーナーがありました。
先ほど展示室で感じた充実感のない、日本の売れ筋?絵本が並んでいました。
さきほど見た原画も印刷して絵本にしたらこうなる?
いやいや、そんなことはないでしょう。
コンクールで入賞する作品と、書店で売れる本が違う事はわかります。
わかるけど、どうせなら入賞した作品の絵本を売ってほしいなあ。
と勝手なことをおもいながら美術館を出ました。

充実の絵本原画展、ひさびさに行って良かった。ありがとう。

会期  :2022年8月13日(土)〜9月25日(日)
休館日 :水曜日
開館時間:10:00~17:00(入館は16:00まで)9月17日(土)、18日(日)、23日(金・祝)、24日(土)は19:00時まで延長開館(入館は18:30まで)
料金  :一般1,200円、高大生600円、小中生400円  西宮市民は証明書提示で1000円、さらに65歳以上なら500円になります。



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コメント

コメント一覧 (2件)

  • リビさま
    イタリア・ボローニャ国際絵本原画展は、駅や電車などで案内を見て、こういう展覧会ごあるんだ!と思ったことはありましたが足を運ぶんだことはなく😅
    クラフトの展覧会のような作品って、どんなのだろうと興味があります✨

    子供たちが大きくなると、絵本を読む機会も無くなってしまいましたが、
    本棚に並んでいる絵本の背表紙を見るだけでも、可愛くてなんだか嬉しくなります☺️

    • リンゴとコトリさま
      コメントありがとうございます。
      そうですねえ。
      年をとるとぐっと絵本を読む機会が減りました。
      古くていいのもありながら、新しくいいものもいっぱい出てくるし、
      たまに見るとやっぱりおもしろいなあと思いますよね。
      完全に子ども関係なく。

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