「レイディオ」はAmazonプライムがオススメしてくれた、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020出品作品です。
監督:塩野峻平 脚本:中村綾菜 主演:加藤隼也・松岡美優。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭
2004年埼玉県川口市でスタートしたデジタルシネマの国際コンペ映画祭。
若い才能の発掘・育成が主軸だそうです。
世界中から応募できます。
HPを見るとプロの作品が並んでおり、そこに中央大学放送研究会 RARERUの作品もあるのです。
だいぶ若い才能です!
レイディオはリアル
45分の短い映画です。
スマートフォンの目覚まし音が鳴り、加藤くんが歯磨きしているところから始まります。
学生マンションの部屋を出て、イヤホンをつけてタイムフリーでラジオをききながら学校に向かう加藤くん。
黒いリュック、チェックのシャツ、黒のスキニージーンズ、つるんとした角丸iPhoneカバー、耳にイヤホン。
アルバイト先の大学でわたしが毎週会う男子学生たちを平均したような子です。
講義室で加藤君の近くに座っている男子学生の会話
「夏休みどっかいった?」
「どっこも。バイトばっかしてた」
「だよな~」
「おまえは?」
「先輩と沖縄いったわ」
わたしが働く大学でも後期がはじまり、これとほぼ同じ会話をききました。
関西弁でしたけど。
服装、持ち物、会話…なんてリアルな映画なの!
学生がつくっているから、そりゃあそうですね。
レイディオに出てくるRADIO
加藤くんは将来の夢がないのでとりあえず安定の公務員をめざしています。
おとなしくて人付き合いも得意ではなさそう。
でも話をしてみるとおもしろいことを考えている、これまたよくあるタイプの男子学生です。
「袋小路包囲戦」というラジオネームでショッパナ(芸人さん)がパーソナリティをしている「ショッパナの他言は無用!」のメール職人をしています。
メールが採用されると、リスナーのツイートをチェック。
自称「陰キャ」です。
後期のゼミで「芸人さんのラジオを聞くことが趣味」の女の子、松岡さんと知り合います。
同じ番組を聞いている事がわかり、仲良くなります。
彼女もメール職人なんだけど、ある時点までお互いその事は知らぬまま。
雑談中、もうじき就活だけど将来何がしたい?と加藤くんが尋ねます。
松岡さんは、将来ひとを笑顔にできる仕事をすることが夢で、後悔しないように生きたいといいます。
それを聞いて感じるところのある加藤くん。
加藤くんと松岡さんそれぞれの日々と、ショッパナがスタジオでメールを読むシーンで物語が進み、おわります。
どうでもいいけど、ショッパナが番組をしているスタジオには「NACK5」のステッカーが貼ってあります。
しっかり埼玉の放送局ですね。
リンダリンダ
THE BLUE HEARTSのメジャーデビューシングルだった「リンダリンダ」が物語の中の大切な音楽です。
松岡さんがひとりでいるときにハミングしている応援歌。
地味な主人公たちの静かな物語に甲本ヒロトさんの声は強烈すぎる気もしたけど、主人公たちは大学生だし、これぐらいの曲をぶつけたほうがいいのか。
そんなことは別にしても、いい曲だし。
レイディオ
タイトルを「ラジオ」でもなく「Radio」でもなく「レイディオ」ってカタカナにしているのはなんでだろう。
画面によけいなものがないこの映画の空気にとても合っています。
おもしろいのは、エンドロールが全部手書きだってことです。
名前は本人が書いたものを使っているんだと思います。
きれいな文字、荒っぽい文字、へたくそな文字、味のある文字……。
隅々まですっきりきちんとした印象の映画ですが、エンドロールにはラフな書き文字画面が流れる。
バランスがすばらしい。
映画制作のことなんて何もわかりませんが、これを大学生が作ったなんて驚きです。
経験や技術やお金を越えて、いいものは作れるんですねえ。
大学から帰ってきてすぐにこの映画を見たので、よけいに感動したのかな。
ありがとう、大学生。
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