型染の美しい模様が何となくユーモラスで温かい柚木さんの作品は鑑賞するのもたのしいし、リアルに勉強にもなるし、充実した展覧会でした。
※柚木沙弥郎さんが2024年1月31日に永眠されました。柚木さん、ありがとうございました!
柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)
1922年生まれ100歳の作家さんで、染織以外に版画、立体、絵、絵本もたくさん出しておられます。
太平洋戦争で従軍。
倉敷に復員して大原美術館に就職。
そこで民藝に触れ、芹沢銈介の型染カレンダーを見て衝撃を受け、染色作家を目指されたそうです。
柚木さんの作品に現れる形はセンス抜群でおしゃれ…だと思っていました。
自然の中からものの本質、生き生きした部分をつかんで形を考え、抽象化しながら美しい模様を作るそうです。
センスがいいとかおしゃれとかそういうことではなくて、じっくり自然と向き合って形を作るとこうなるってことなのか。
さらに、制作はワクワクしていないとできないんですって。
能動的に。
長く生きている人は自然でしなやかでエネルギッシュですね。
かっこいいってこういうことか。
柚木沙弥郎 life・LIFE 展
JR京都伊勢丹7階隣接、美術館「えき」KYOTOで開催中です。
テーマのlifeは「暮し」、LIFEは「人生」。
ご自身の作品をアートでもなければ工芸品でもなく、その間にある「暮らし(life)と繋がっているもの」だとおっしゃっています。
そして人生は流れていても一本筋が通っていればいいとのこと。
したかったことができなくても、それを果たすべく努力をしたならそれでいいと。
100年生きた人がそういうなら本当にそうなんだろうと思います。
展覧会は絵本からはじまります。
絵本の原画がたくさん。
つきよのおんがくかい (日本傑作絵本シリーズ)
水彩画のものもありますが、殆ど型をつかったものでした。
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の絵本原画や絵ハガキセットの原画。
雨ニモマケズ (宮沢賢治の絵本シリーズ)
型染めで原画を作った地図やイベントのポスターが展示してありました。
型紙を手でカットした跡は、とても心地良い。
柚木さんのお気に入り置物のコレクションが展示してあります。
気に入ったものはしまいこまず、常に目に触れるところに置いておくそうです。
そしてお待ちかね、これが見たかった!型染や注染の布。
竹をレールにして、大きな布が吊るされています。
太古から使われている基本のカタチ、丸・三角・四角から派生した模様。
注染の布もキレイですが、やはりわたしは型を切った跡がわかる型染が好きです。
スクラップブックやスケッチはおもしろい。
なんでこんなもの描いてんの?というようなものもあり…。
作品を見ている間、ず~っと子どもが退屈してぐずっている声が会場に響き渡っていました。
子どもにしたら布なんか見て、何がおもしろいの?って感じでしょうね。
静かになったと思ったら、出口付近のつばめの下に置いたベンチで一生懸命スマホ見てました。
作品鑑賞が終わったお父さんが「行こう」といっても子どもはスマホに夢中で、さっきまでと立場逆転していました。
なんかいいなあ。
これも暮しですねえ。
ずっと見たかった展覧会、行けてよかった!ありがとう。
柚木沙弥郎 life・LIFE
会場:美術館「えき」KYOTO
会期:2022年11月11日(金)~12月25日(日) ※会期中無休
時間:10:00~19:30(入館は閉館30分前まで)
料金:一般 900円、高・大学生 700円、小・中学生 500円
コメント
コメント一覧 (6件)
リビさま
また素敵な展覧会をご紹介くださりありがとうございます💕
100歳の作家さん!本当に驚きです!!
色彩、デザイン共にとても惹かれます✨
ぜひこの目で見てみたかったですが、スケジュールが合わず😭
また柚木さんの作品を見る機会があったら教えてください🙇
リンゴとコトリさま
コメントありがとうございます。
すてきですよねえ。
梅田のMARUZENジュンク堂書店に今回の展覧会図録が売っていましたよ。
作品の一部分が原寸大で見られる作りになっています。
大きい声ではいえませんが…立ち読みだけでも楽しいと思います…!
リビさま
図録の情報ありがとうございます!
年明けに見に行ってみます🎶
楽しみです〜😄
ぜひです!
リビさま
天満橋のジュンク堂で見てきました!
ビニールに包まれていましたが、実物大布地のデザインは見ることができました✨
近くにあった作品集は中を確認できたので立ち読みしたのですが、とても素敵でした😍
柚木沙弥郎の染色 ─もようと色彩 日本民藝館所蔵作品集
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480873958/
時々眺めたいです🧡
ちょっと検討中です😺
リンゴとコトリさま
天満橋ジュンク堂は立ち読みできないようにしてあるんですか!
展覧会場の売店は立ち読みし放題でした。
わたしはほしいけれど高価だし…でも仕事に役立ちそうだし…
と何回も行ったり来たりしてついに購入しました。
だいぶ怪しかったと思います。