【李 禹煥 展】@兵庫県立美術館 作品と周囲の空間が静かで美しい展覧会でした。

兵庫県立美術館 李 禹煥 風景
風景ⅠⅡⅢ

兵庫県立美術館の開館20周年記念特別展。「もの派」の代表的な美術家、李 禹煥(リ ウファン)の大回顧展をしています。帰りに寄ったインド・ネパールレストラン シバサクティもごきげんでした。

目次

李 禹煥(リ ウファン)

李 禹煥さんは「もの派」(1960年代後半~70年代前半の日本の美術動向)の作家として有名ですが、世界中で活躍しておられます。
1936年韓国まれ。
ソウル大学から日本大学に編入して哲学を勉強。
刺激的な1960年代前半を過ごして美術作品を中心に制作されますが、芸術評論の本も出版しておられます。
このあたりのことは「李禹煥鑑賞ガイド」という、美術館においてあるリーフレットに漫画で紹介されています。
もの派の作品は素材を未加工でそのまま展示し、「もの」「ことがら」とそのまわりの空間で成り立つ作品です。
この展覧会はまさにそんな感じ。
現地にいかないと意味がないだろうと思われる展覧会でした。

兵庫県立美術館開館20周年記念特別展 李 禹煥

スマートフォンを持っていれば無料で音声ガイドを聞くことができます。
「音声ガイドマップ」の番号にあわせて進むんだけど、マップの番号と解説の番号が合っていなところがあります。
それは最初に説明があるのでわかって聞き始めましたが、途中で「もうええわ」となってやめました。
美術館キュレーターや李先生の解説もあって充実しているのにもったいないんだけど。

最初の展示室に蛍光色の大きな絵があります。(風景Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)
絵自体がボワワンボワワンと強い光を放ち、床に映った色も強くて、静かなのに強烈な作品が迎えてくれます。

立体作品は石、ガラス、鉄板、綿、キャンバス、ゴムなどが単体だったり組み合わせてあったり立てかけてあったり平置きしてあったり…。
自然物、工業製品、固い、柔らかい、伸縮性がある、透明、不透明などそれぞれのものの特性の対比があったりなかったり。
ものとものとの関係、展示室の照明や空間との関係、目に見えるものだけではなく見えないものも目の前に提示されている。
立体作品が複数展示されていると、どこが作品の際なのかわりません。

関係項-星の影

関係項―棲家(B)は外に展示されています。

関係項―棲家(B)

薄めの石が積み上げたり立てかけたり敷き詰めたりされています。
敷き詰めた石の上を歩くとガタガタコチコチ音がするし、石の位置がかわる。
ということは作品の形がかわるんだけど、スタッフの方に注意されない面白い作品です。

絵画作品も充実していました。
筆に含ませた絵具がなくなるまで描く「点より」「線より」のシリーズは時間の経過が描いてあるっていわれていますが、たくさん並んで囲まれると時間だけじゃなさそうな不思議空間。

描いてある部分より白場の方が多い「照応」や「対話」のシリーズは白場の方を見る絵のようです。

対話
照応

白場が多いとまわりの空気も全部絵がもってってしまいます。
どの絵も床に映っており、立体と同じく作品の際がどこなのかわからなくなっていました。
筆のストロークがミニマルな水墨画みたいでかっこいい。

最後の展示室には2021年の「応答」シリーズが展示されていました。
複数色がゆらいだグラデーションで、キャンバスに水平か垂直に太い線が描かれた白場が多い作品。
静かなんだけど周辺の空気の震えに迫力があるすごい展示室でした。
写真が撮れませんでした。

どの展示室も、次の展示室への期待が大きくなり、その期待は裏切られず進んでいける充実した展覧会でした。
ちら見えで期待がふくらむ。

狭い出入口からちらっと…いや、半分ほど見える作品

柚木沙弥郎さんしかり、長く生きている人の作品は迫力があります。


できればもう一度見に行きたい。

兵庫県立美術館開館20周年記念 李 禹煥
会期:2022.12.13(火)~2023.2.12(日)
休館日:月曜日。1/9(月)開館、1/10(火)休館。
開館時間:10:00~18:00(入場は閉館30分前まで)
料金:一般 1600円、大学生 1200円、高校生以下無料、70歳以上800円、障がいのある方一般400円、障がいのある方大学生300円

インド・ネパールレストラン シバサクティ

いやぁ、よかった!
と美術館を出て海ぞいを少し散歩し、遅い昼食を食べようと阪急王子公園駅まで歩きました。
ぜんぜんお昼じゃないからどこもあいてないかと思ったら!
水道筋商店街のインド・ネパール料理シバサクティは「OPEN」の札が出ていました。
今回は一般的なAセット(野菜カレー、ナン、パパド、サラダ、ドリンク)を注文。

カレーの味は普通ですが、ごはんよりナンの方がおいしいということがわかりました。
そしてなにより貼り紙がごきげん。

さっきの李 禹煥とはぜんぜんちがうこの雰囲気。
今楽しいいつも楽しいね。

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