ドイツ生まれの美術商ベルクグリューンのコレクション由来の美術館が改修中、作品をお借りしているそうです。
プラス日本の国立美術館収蔵作品。充実してました。
ベルリン国立ベルクグリューン美術館
ベルリン国立美術館群ナショナルギャラリーに属する美術館。
画商でコレクター、ハンツ・ベルクグリューンのコレクション主要部分がドイツ政府とベルリン市の資金で収蔵されているそうです。
収蔵作品はピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティのものがメイン。
その師であるセザンヌと、ピカソのキュビズム盟友ブラックの作品もプラスされています。
ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展
ベルリン国立ベルクグリューン美術館展は国立西洋美術館から巡回で国立国際美術館にやってきました。
パブロ・ピカソ
スペイン生まれの画家。
絵、版画、立体、陶器…長生きで多作です。
今回は日本初公開ってのも何点かあり、いろんな絵がざくざく出てくるのね、とおもわされました。
持って生まれた力の上に修練を積み、強い考えと意欲があれば無数の選択肢にチャレンジできます。
世界をひっくり返す力のある人、つくづくすごいと思う。
美術館はとても混雑していて写真撮影OKだったので、メインのピカソ作品はなかなか見づらい。
とくに「どひゃ~」って思うような絵の前はスマホ持った人の小さい列が。
展覧会のメインビジュアルになっている「緑色のマニキュアをつけたドラ・マール」は日本初公開。
形も空間も力強く、迫力のわりに?繊細な透明感があって、どっひゃ~!でした。
写真撮ってる場合じゃない。
ドラ・マールといえばゲルニカの制作過程を写真撮影していたピカソの愛人。
「泣く女」のモデルもこの人だそうです。
原田マハさんの小説「暗幕のゲルニカ」では他の愛人に嫉妬しながらピカソに寄り添う人ですが、あれはどこまでが事実なんだろう。
女性を描いた作品が印象的でしたが、ピカソの作品はどこで見ても何を見てもキツめの迫力あり。
作品自体とは関係ありませんが、この展覧会は作品についている殆どの額がとても素敵でした。
完全に作品が負けている額もありましたが…。
現在見て「なんか、ヘン」だと思う額でも、作品が最初に展示された時代の価値観ではピッタリだったのかもしれませんね。
パウル・クレー
スイス生まれの画家でバウハウス(1919~1933年の間ドイツにあった建築・美術・工芸の学校)の先生。
音楽一家で育っているからか、どの絵もリズムが心地よい。
色も美しいし…油彩転写素描という技法で独特の宇宙感があります。
油彩転写は油絵具の黒を塗った紙をカーボン紙のように使って転写する方法。
独特の線と、ちょっとした汚れが不思議な遠近感を醸し出したりしています。
クレーの作品は小さいものが多く支持体も画材も色々で、勉強になります。
ナチスドイツ時代、なんでこの人の優良な作品が「退廃芸術」だったのか…大ナゾです。
額もとてもよかった。
アンリ・マティス
フランスの画家。
フォービスムの代表的画家で、色彩の魔術師といわれています。
筆の線も細く削って描いた線もとても魅力的。
線と色をつきつめて切り絵に到達し、原色の紙をはさみで切ってシンプルで力強い絵を作っています。
デザイナーが好きな造形作家トップじゃないかな。しらんけど。
アルベルト・ジャコメッティ
スイスの彫刻家。
細く長くひきのばされたブロンズの彫刻作品が有名です。
哲学者の矢内原伊作をモデルにした作品が国立国際美術館のコレクションになっています。
ヤナイハラがコレクションになったとき、美術館ではジャコメッティと別れた後歴史から消えて忘れられた恋人フローラ・メイヨをモデルにした映像作品「フローラ」が上映されていました。(テリーサ・ハバード/アレクサンダー・ビルヒラー)
フローラ・メイヨが主人公ではあるのですが、両面スクリーンは片面ずつ違う作品でした。
両面とも内容が悲しくて、(言い方が悪いけど)彼女が踏み台になってジャコメッティの成功があるのかと思うとあれ以来純粋に「ジャコメッティの作品、いいわ~」と思えなくなってしまいました。
こんなこと芸術家にはありがちだとわかってはいるのだが。
でもやっぱりジャコメッティの作品はおもしろい。
心斎橋のエスパス ルイ・ヴィトン大阪5階で6月25日(日)までアルベルト・ジャコメッティ展やってます。
12:00~20:00入場無料。
まだ行ってませんが…。
会期 2023.2.4(土)~2023.5.21(日)
時間 10:00~17:00 金・土は20:00まで。入場は閉館の30分前まで
休館 月曜日(2023.5.1は開館)
料金 一般:2100円 大学生:1300円 高校生:900円 中学生以下無料
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