10月の「ひも理論」の後期展「超ひも理論」。工芸品みたいに精巧なおもしろ美術作品でした。
cumonos（クモノス）
cumonosは放出の住宅街にあるシルクスクリーン工房＋ギャラリー。
昭和の住宅を改装したユニークな３階建てのアートスペースです。
昨年10月の「ひも理論」に続いて1月に「超ひも理論」が開催されました。
まってました！
超ひも理論
前回の「ひも理論」は電気コードをレース編みした精巧な作品でした。
「ひも理論」の「ひも」は電気コードのことだそうです。
今回は精巧な刺しゅう作品。
ということは「超ひも理論」の「ひも」は刺しゅう糸ってことなんでしょうか。
支持体は布ではなく紙や樹脂製のごくごく日常的なものばかり。
作家さんがお母さまの手芸本を参考にして制作しておられるそうです。
全作品めちゃくちゃ面白いのですが、「デコレーション 国宝浮線綾螺鈿蒔絵手箱」が圧巻です。
段ボール箱に「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」の柄が刺しゅうしてあります。
段ボール箱に印刷されたロゴや宅配便の伝票（印字部分含む）はその色に合わせた刺しゅう糸で細かく刺してあります。
ということもあり、なんと完成までに４年かかったそうです。
この作品は美術品の配送業者さんに一度取り扱いを断られたとか。
タイトルに「国宝」とついているため、業者さんがビビられたそうです。
国宝が段ボール製なわけないじゃないか。
そんなエピソードまでがおもしろい作品です。
旭屋書店のブックカバーに刺しゅうされたものもあります。
もちろん格調高い伝統紋様です。
日常生活でおなじみの、用が済んだら捨てるものにも高貴な柄の刺しゅう。
ラバーカップ（排水管のつまりを解消するための道具）が支柱になった浣腸のシャンデリアと菊の御紋を刺しゅうしたラバーカップ。
その他の作品もぜんぶおもしろい。
これらの作品はこのあと台湾での展覧会で発表されるんだそうです。
台湾で全部売れてしまうだろうから、その前に日本で見納めましょうという企画でした。
こんなの見てしまったら、一般的な刺しゅう作品（手芸屋さん管轄の）が退屈なものに思えてしまいます。
技法は同じでもジャンルが全然違うから同列で考えるもんじゃないんだけど。
ひも理論、超ひも理論、おもしろすぎました。
樋口愉美子 暮しの刺繍
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