第67回ミズノメセナイベント「飯田正廣・薬師寺智子 親子展」を見てきました。名古屋市営地下鉄 名港線 東海通駅1番出口から3~4分、(株)ミズノのイベントスペース「ヴィレボヌール」で開催されています。
薬師寺智子さんのローズウィンドウ
薬師寺智子さんはローズウィンドウの第一人者。
…ということを知ったのは昨年末、京都市立芸術大学美術教育研究会の実技研修で薬師寺先生のもとローズウィンドウを制作してからです。
厚みのうす~い色紙をカットして重ねることで色と柄を作り、そこに光があたって輝く作品です。
講習では予め用意された薄紙の中から3色選んで、先生考案の設計図に従って作るというものでした。
「自分でデザインせず、お手本どおりそのまま作る」というのは珍しい実技講習です。
しかし、やってみてわかりました。
自分でデザインするなんて100年早い。
ローズウィンドウはかなり複雑なものでした。
わたしはあまり考えずにピンクとブルーと黄色を選びました。
この3色を使えばぼやぼやっとパステルな仕上がりになるのかな…と。
先生の作られた設計図通り、3色それぞれに割り当てられた図案を写してデザインカッター(刃がちいさく、小回りのきくカッター)でカットしていきます。
カットし終わった3色の紙を重ねて枠に糊付けして仕上げます。
3色とも同じ形に同じ部分をカットしたらベースの白が出ます。
黄色だけカットするとピンクとブルーが重なって紫になります。
ピンクだけカットすると黄色とブルーが重なって緑になります。
どこもカットせず全色重なったところはグレーになります。
カットがずれると色がぶれてキレイに柄が出ません。
わたしが作ったものは予想通りぼやぼやっとパステルな仕上がりになりましたが、選んだブルーの紙が赤っぽく、思ったより寒々しい仕上がりになりました。
先生デザインの柄であっても選択する色紙によって全く違うオリジナルなものになります。
同じ作品でも、光の当たり方によって見え方がかわります。
制限が多い中で自分なりの答えを探しながら仕上げ、光とセットで生きる、見かけよりずっと奥深いもの。
今回は、どうやって作られたのかほぼわからない色環になったものや、ウクライナに心を寄せたものなどバラエティに富んだ見応えある展示作品たちでした。
紙を折ってカットして重ねるので幾何学的な柄になりがちだけれど、水彩画のような仕上がりを目指しておられるそうです。
HPのトップページ画像はまさにそんな仕上がりです。
わたしはゴブラン織りっぽく感じましたが、どちらにしても独自のローズウィンドウ作品であることに違いありません。
飯田正廣さんのボールペン画
飯田さんはどうみても92歳には見えない、薬師寺さんのお父さまです。
姿勢よい立ち姿が若々しい、おしゃれなおじさま。
黒一色のボールペン画は、もう、点描でした。
繊細で緻密でていねいな美しい絵ばかり。
もともと家にボールペンがいっぱいあったから描き始められたそうです。
ボールペンによっては(やすもの?)時間が経つと描画色がかわったり、とくに夏にインクのボタ落ちが激しい。
三菱の、0.7㎜の、軸がかくかくとなったものがいいんですよ、と教えてくださいました。
きっと昔からある、一番基本のやつですね。
いちばん細かいところは0.38㎜のボールペンを使うそうです。
ボールペン1本で普通は4作品ほど作れるとのこと。
目が悪くなってきていけないんですよ、とおっしゃっていましたが、まだまだ全然いけてます。
ごく手近な材料で作品を極めていく。年齢関係なく一生懸命になる。美術のいいところ満載です。
ほんとうにすばらしい。
わが身を振り返り…反省です。
義母に会いに行く
名古屋にいった目的は、展覧会を見ることと義母(88)に会いに行くことでした。
地下鉄で名古屋駅に戻り、髙島屋で美濃吉のお弁当を買って義母に会いに行きました。
ここのところ、義母との会話はおなじ話の繰り返しです。
「なんておしゃれなお弁当!いいおだしの味がするわ~。おいしいわ~」
というのももちろんループで、とても喜んでくれました。
帰り際はわたしの肩をたたいて「よく来てくれたね、またね」といつまでも見送ってくれました。
いつも歓迎してくれてありがとう、おかあさん。
名古屋の先輩たちに感謝です。
コメント
コメント一覧 (4件)
リビさま
「ローズウィンドウ」初めて知りました!
きれいで複雑で、見るだけではなく、作る楽しみもあっていいですね💕(ムズカシソウですが)
子供の頃夢中になった万華鏡みたいで、ワクワクした気持ちにもなります😊
ボールペン画の緻密さも本当にすごいですね!どちらも直接見てみたいです✨
優しいお義母さま。
美味しいお弁当を一緒にいただく幸せなひとときが目に浮かび、胸が熱くなりました。
リンゴとコトリさま
いつもあったかいメッセージありがとうございます。
ローズウィンドウの展覧会、大阪で開催されるときはおしらせしますね。
たいがい同時にワークショップをされるので、体験もできます。
お父さまは…ほんっとにすごい。
活動的な高齢者も、のんびりしている高齢者も、いきいき暮らせていて
ありがたいよのなかです。
たまたまローズウィンドウを検索していたら、この記事を見つけました!今更ながら、ご覧いただき、記事にも書いて下さってありがとうございます。
薬師寺さま
びっくりしました!
コメントありがとうございます。
とてもみごたえのある展覧会でした。
ぜひ大阪でも展覧会してください!