長年親しんだお笑い色の強い初心者向き短歌講座「短歌de胸キュン」が終わってがっかりしていました。
が、2022年度 ジャニーズJr.「7MEN侍」を迎えてリニューアルした初心者講座もおもしろくなってきました。
短歌de胸キュン
短歌de胸キュンは「NHK短歌」の初心者向き講座として2020年度まで月1回放送していました。
出演者がお笑い芸人(スピードワゴン、小島よしおさん、フルーツポンチ村上さん)中心だったので楽しく見ていました…といっても家事をしながら横眼で。
レギュラーメンバーは、お笑いメンバー+俳優、タレントなど入れ替えもありつつ6~8人。
提出する課題短歌の仕上がりがよい4人だけが次回出演できるという、毎回ヒリつく趣向です。(課題提出は欠席の人も含めメンバー全員)
先生の隣でMCをするのはスピードワゴンの小沢さんか井戸田さんで、どちらも出演できない回は他の人がぐだぐだのMCをしていました。
学校の部活や専門学校などで生徒さんと短歌対決をするロケ(これも吟行っていうのかな?)もありました。
短歌では優等生のフルーツポンチ村上さんは、スポーツになるとガタガタボロボロ。
フルーツポンチ村上健志の俳句修行
逆に短歌では先生にダメ出しされてばかりの小島よしおさんがスポーツでは大活躍。
小島よしおのとけいドリル (ワニのあそび知能本シリーズ)
そんなこんなで笑いいっぱいの短歌講座でした。
いえ、わたしはすっかり「お笑い番組」として楽しんでいたといえましょう。
NHK短歌 短歌侍への道
2022年度春から初心者向け講座リニューアル。
講師は栗木京子先生、MCはスピードワゴン小沢さん、生徒はジャニーズJr.「7MEN侍」の矢花さんと本髙さん…とメンバー固定となりました。
夜が小沢をそそのかす スポーツ漫画と芸人の囁き (文春e-book)
ぜんぜん知らないアイドルかぁ…と思っていましたが、日が経つにつれ…。
題 「誕生日」
短歌に「会話を入れる」というテーマでした。
会話をいれると歌に躍動感が出るのですが、会話は文字数が多いので描写しにくい。
そこで会話以外の部分を的確にまとめることがポイントになるんだそうです。
過去の失敗例を見本に説明がありました。
スピードワゴン井戸田さんが「結婚式」テーマで作られた、会話だけでできた短歌。
おめでとう 食べづらいなこのミルフィーユは えーまたお色を直すんですか 井戸田潤
誰が誰に言っているのか、状況もわかりにくい…と本人がいないのにダメ出しされていました。
あ、発表時に本人にダメ出しされてますね。
小沢さん、本髙さん、矢花さんが視聴者のエピソードに基づいて短歌を作ったあと、
ナルシスト本髙さんの誕生日エピソードに基づいて、つぶやきや心の中の声を入れて詠む課題が出されました。
大学1年生の誕生日、なんの約束もなかったので学校でプログラミングの課題をしていた。
友達が同情してお菓子を買ってくれた。
そのお菓子を食べながら課題に取り組み、こんな誕生日も悪くないなと思った。
小沢さん作品
購買で 友が買ってきたお菓子食べ 自分で自分に「Happy Birthday」 小沢一敬
好意があるのか悪意があるのかわからない短歌。
その状況に浸る様子を強調して「孤高」という言葉を使う、と先生の添削が入りました。
「孤高」って、すごいワードチョイス!
購買で 友が選んだお菓子食べ 孤高の自分に「Happy Birthday」
本髙さん作品
「わるくない」 友からの菓子食べながら 宿題をする誕生日でも 本髙克樹
「わるくない」が素晴らしい!ちょっと上から目線でしびれますよね、という先生のほめ言葉がすばらしいと思いました。
「わるくない」という意志を強調して「僕流バースデイ」と言い切る、と先生の添削がはいりました。
「わるくない」 友からの菓子食べながら 一人で学ぶ 僕流バースデイ
本髙さんは「そんなに酔ってないんですよ」と否定していましたが。
矢花さん作品
誕生日 いつも通りに課題して 「格好いいな 優秀な俺」 矢花黎
本髙さんの自分への泥酔状態を詠んだそうです。
先生は「優秀な俺」というところに毒がある。毒がある短歌はすごい。とほめた後、「課題して」という言い方が舌足らずなのでもっと丁寧に。とダメ出し。
誕生日 今日も課題に取り組んで 「格好いいな 優秀な俺」
短歌とは関係ありませんが、7MEN侍おふたりの作品添削フリップには、短歌の横で竹刀を振る侍アイコンが入っています。
これは「NHK短歌」ロゴに合わせたきれいなモザイク(ステンドグラス?)デザインで、毎度見入ってしまいます。
ところで。
視聴者から募集した短歌の中に、字余り・字足らずのデコボコなものがありました。
本髙さんはそれが選ばれたことに納得がいかないと。
先生が「音がはみ出るときは早口で詠めばいいんですよ」とおっしゃいました。
栗木先生は講評の仕方も参考になるし、提示されるゆるい解決策も参考になります。
わたしのアルバイト時の。
短歌対決 テーマ「誕生日」
さいごに、習ったポイント「会話やつぶやきを入れる」を踏まえて短歌対決をします。
今回1位と2位は僅差だったそうです。
3位
夏休み 心で友に物申す 「忘れてるよね?僕の誕生日…」 矢花黎
先生の添削は、視点を変えて状況をわかりやすくするというものでした。
夏休み 友の電話を待っている 「誕生日でしょ?ご飯行かない?」
2位
「YOUたちは7MENだ」と告げられた 日から生まれる 侍の鼓動 本髙克樹
誕生日をグループの誕生日と捉えるとは、おもしろい!
「侍の鼓動」というのは初オリジナル曲のワンフレーズだそうです。
先生は「レベルが高い」とほめた後、「日から生まれる」を「日に生まれ出た」にすると迫力が出て、明るい未来を感じるとアドバイスされました。
「YOUたちは7MENだ」と告げられた 日に生まれ出た 侍の鼓動
すごいすごい!ちょっとのことで全然変わります。
1位
「おめでとう!」ローソクの火はマスク越し 吹いても吹いても 消えずに残る 小沢一敬
詠んだ後小沢さんは「時代斬っちゃいました Me」って言ってました。
先生は、なるほどな~!時代の実感がひしひし伝わる。とほめた後、「消えずに残る」を「ケーキを照らす」とすると、誕生日ということが明確になるとアドバイスされました。
なるほどな~!
番組をうまく回していく小沢さんの手腕が光って、短歌侍への道もおもしろくなってきました。
短歌も俳句もデザインに通ずるところがあり、先生の添削や説明はデザインの勉強にもなります。
今後もっとおもしろくなることに期待です!
※短歌はすべて番組より引用しています。
コメント
コメント一覧 (2件)
リビさま
短歌面白いですね!
ちょっと変えるだけで、全然違う印象になってすごい✨
短歌を通して、様々な場面で、いろんな見方ができるようになりそうですね🎶
リンゴとコトリさま
おもしろいんですよ。短歌。
全然がっつり勉強してるわけではありませんが。
見方をかえるとおもしろいことって増えていきますよねーー。