烏丸七条の京都中央信用金庫 旧厚生センターで、イギリスのアーティスト ブライアン・イーノの展覧会BRIAN ENO AMBIENT KYOTO 開催中です。中に入ったらすぐ、その環境自体が作品です。
ブライアン・イーノ
イングランド出身の芸術家。
ロックバンド ロキシーミュージックの元メンバーで、環境音楽(アンビエント・ミュージック)の創始者といわれています。
身近なところではWindows95の起動音を作った人…Macで作ったそうです。
デヴィッド・ボウイやトーキング・ヘッズの音楽プロデューサーとしても有名。
美術学校の出身で、音と光が絶え間なく変化し続けるデジタルバリバリ「ジェネレーティブ・アート」を作っておられます。
展覧会は、1~3階の展示室、ラウンジ、トイレ、階段、壁、全館で流れている音楽、全てが作品で満ちていました。
シャッター音や画面の光が作品のじゃまになるので、スマホでの写真撮影はできませんでした。
(それらが全部解決できれば撮影可です)
作品の画像はこちら。
The Ship
スタッフの方が3階から見てください、と案内くださいました。
階段、廊下の机に盆栽や石が飾られています。
ご指示に従って靴をぬいで真っ暗な部屋に入ります。
まだ目が慣れないのであまり見えないのですが、台(ベンチ)の上に人がいるのはわかります。
スポンジ状テクスチャのものが貼ってある座面に腰をおろし、目をつぶって、人の話し声が混じる不安な音を聞いていました。
沈没したタイタニック号、第一次世界大戦、傲慢さと偏執症の間を揺れ動き続ける人間をコンセプトの出発点とした作品だそうです。
しばらくして目をあけると、暗闇に慣れて室内風景がよく見えるようになっていました。
広い部屋の中に色々なスピーカーが置かれていて、青く光っていたりします。
わたしのすぐ横には女性が寝そべっていました。
台の上は色々な座り方の人がおり、寝ている人起きている人、色々な人。
Face to Face
The Shipの部屋を出ると、スタッフの方が「こちらに作品があります」と別の部屋を案内してくださいます。
さきほどより狭い部屋にさきほどと同じ台が2つあり、そこに座ります。
正面のスクリーンは3分割され、3人の人の顔が映っています。
入った時は一番左に眼鏡をかけた男性、真ん中に若い女性、右に無精ひげのおじさんが映っていましたが、アハ体験のようにじわじわ顔がかわり、一番左はおばあさん、真ん中は黒人男性に。
その後もじわじわ顔は変わり続けます。
音楽がずっと流れています。
シームレスなので、なかなか立ち上がることができません。
特殊なソフトを使って21人の顔画像が別の顔へとランダムにかわり、36000人以上の新しい顔が出来続けるそうです。
えい!と立ち上がって2階に移動しました。
Light Boxes
光る四角い箱が3つ並んでおり、じわじわと色が変わっていきます。
ものすごいRGB(光の三原色)の世界です。
もちろん音楽もありです。
作品の前に立って見るのはNGで、横一列に並べた台の上に座って見ます。
どの色の組み合わせもきれいで、この作品も立ち上がるきっかけが見つからない。
立ち上がって出入口に向かいながら、立ち止まってしばらく全貌を見てから1階に移動。
77 Million(7700万) Paintings
入口のスタッフの方に注意書きを読んでくださいと促されます。
30分以上寝ていたらスタッフが起こします、と書いてありました。
靴をぬいで中に入ると、暗くて広い空間の正面に柄が変わり続ける大きな光の絵、音楽。
13枚の光のパネルが風車型?に組み合わされています。
部屋のあちこちに北山杉の柱、円錐形の砂山、ソファ。
ソファには寝そべってる人、座っている人、色々な人。
あいているソファに座ると、背もたれが低くて寝ずにはいられません。
絵はとくに良いとも思えないものばかりでしたが、音楽を聞きながらいつの間にか寝ていました。
自力で起きて部屋を出る。
トイレ
「トイレどこですか?」と全然きいていなくてもスタッフの方が「トイレはこちらです」と案内してくださいます。
作品があるのか?と重たい昭和なドアをあけると、昭和なトイレでした。
音楽が流れています。
いい香りが漂います。
この空間が作品なのでした。
環境音楽+おわらない光の絵
「絵を見る」とか「音楽を聞く」というより、音と光の空間で「過ごす」時間。
先日のプラグレスなクラシックコンサートと正反対の、電気で成り立つ空間もぜいたくなものでした。
……プラグレスの方がすきですが。
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