【近畿大学文芸学部】 版画ゼミナール学生有志展「じりだり」を見て、版画ってやっぱり楽しい!と思いました。

放出(はなてん)の住宅街にあるcumonos(クモノス)で、近畿大学文芸学部芸術学科版画ゼミ3年生5人の展覧会が開催されています。

目次

シルクスクリーン工房 兼 アートギャラリーcumonos

JRおおさか東線、片町線の放出駅北出口から東に向かって徒歩15分ほど。
町工場と住宅が混在している中の、昭和な建て売り住宅一軒がまるまる工房とギャラリーになっています。
アルバイト先の版画ゼミの先生おふたりが共同で運営しておられ、先生方のアトリエでもあります。
プロ作家のお仕事を見つつギャラリーで展覧会もさせてもらえる、学生さんたちにとってはかなり勉強になるスペース。

近畿大学版画ゼミナール学生有志展 じりだり(dillydally)

出品作家:上土谷香音/ 藤井穂香 / 深谷梓 / 隅田真悠 / 岡田真理子

行き先もわからぬままに気ままな旅をするような、縛られない自由さをそなえた展覧会。
1階ではシルクスクリーンのワークショップも開催されています。

dillydallyとは
① 音節dil • ly • dal • ly 発音dílidæ`li
 [動]((略式))自(決めかねて)ぐずぐずする,迷うぶらぶら過ごす,のらくら暮らす
② アイスの味が決めきれない 空きコマの暇つぶしに散歩する 将来を考えて何をしようか迷う そんなときのあいことば
紹介文より

版画は、最初から最後まで自分の手だけで作るのではなく、版を通すことで思った通りの仕上がりにならない場合もあります。
行き先がわからないのはその通りかもしれません。

近大版画ゼミ作品

今まで見たことのある近大版画ゼミ作品の特徴は「版画にしなくても充分すてきなコミックイラストを版画で作ってみた」だと思っていました。

それに対してこの展覧会で展示されている絵は「版画で表現することに意味がある絵」だと思いました。
何かとても新しいことをしているわけではありませんでしたが、この版を重ねたらどうなるのか、この版のインクを通常とは違うものにかえてみたらどうなるのか、ずらしたらどうなるのか……版を使っていろいろな実験をしています。

見ているこちらも楽しいし、作っている本人たちもとても意欲的に楽しんでいます。
2年前にご担当の先生がかわられた影響が大きいのでしょう。
コロナで諸々の誘惑が減り、学生さんたちが集中して制作できるというのもよかったのかもしれません。

写真を撮らせてもらいました。

殆どの写真がうまく撮れなくて、マシなものだけアップです。
撮らせてくれたのに、申し訳ない!

上土谷香音さんの銅版画

上土谷香音:hearty

コンピューターやフィルムを使って製版するのではなく、原稿は手で描いて昔ながらの製法で作るそうです。
手間がかかり技術がいりますが、先生にしごかれながら制作しているそうです。
目をクローズアップした作品が中心でした。
heartyは見てるだけで目がしばしばってなりそうな絵。

隅田真悠さんの作品

隅田真悠:クリイムソオダ

「クリイムソオダ」は2年生の時につくったリノカット(ゴム版)。
これは現地で見ると目の錯覚か、額がかなりの台形に見えました。
他人には台形に見えるのに本人にはみえないらしく、それが不思議。
そしてまた、写真で見ると台形がたいしたことないのが不思議。

色数と形を絞って面のおもしろさと白場がええ感じのリトグラフが数点ありましたが、写真がうまく撮れませんでした。

隅田真悠:幽霊団地 リトグラフ

「団地」はわたしが個人的に好きなモチーフです。
これをリノカットで作ってもおもしろそう。と、勝手な想像をする。

深谷梓さんのシルクスクリーン

霜降り肉、とびだしくんなど、題材がユニークです。

深谷梓:shimofuri
深谷梓:TOBIDASHI’s

シルクは実験しやすい版種だけあって、めっちゃ実験しています。
よく見るとメディウムだけの透明版がかかっていたり、てかてかの版がかかっていたり。
てかてかにするメディウムでは、版がボロボロになったそうです。
やってみないとわからないし、やってみて「あ~あ」の気持ちはすごくよくわかる。

マスクは輪郭線を白にしたら、きまったそうです。

深谷梓:mask

わたしも学生時代シルクスクリーンをしていたので、彼女の一喜一憂はとてもよくわかりました。

在廊の学生さんに励まされる

1年生のときに授業(版画ではありませんが)で担当した学生さんが在廊しており、作品説明をしてくれました。
制作意欲満々でたのもしい限り、今後の制作に期待大です!

版画作品とは全く関係ありませんが…
授業初日、自分のデザイナーとしての仕事を紹介する時間があります。
その時わたしが紹介したノートが、彼女らが高校時代パック買いしたお気に入り商品だったので驚いたという話をしてくれました。
現在テスト前に使っているというガーリータイプの勉強用ルーズリーフも、たまたま私がデザインしたものでした。
縁があったんですね~。
立場逆転、彼女らに励まされて帰りました。
ありがとう。

会期:2022年3月23日(水)ー3月27日(日)
時間:13:00 – 19:00最終日17時まで
会場:cumonos(クモノス) 2F cumonoma、3F cumonoue、uwanosora


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