空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン@あべのハルカス美術館 今もやっぱり好きでした

フォロン 綱渡り師(1973)

若いころとても好きだったイラストレーターのフォロン。多くの作品がまとまった状態で見るのははじめてでした。

目次

ジャン=ミッシェル・フォロン

フォロンは20世紀後半に活躍したベルギーのイラストレーター。
…だと思ってたけど、「アーティスト」と書いてあるから芸術家だったのかな。
最初に知ったのが広告や雑誌のイラストだったからイラストレーターだと認識していました。
子どものころ父が使っていたオリベッティタイプライターの広告にフォロンのイラストが使われていました。

表面的にはクスっと笑うぐらいのほどよいユーモア、キャラクター、色使い、空間の広がり…フォロンに影響を受けたわたしと同世代の人が大勢いることでしょう。
印刷物でパラパラ目にすることはありましたが、今回のように美術館でまとめて見ることがなかったので楽しみにしていました。

立体作品

1番目の考え(1997)

頭部がクエスチョンマーク、スプーン、プロペラ、ねじ、工具、ビル……のブロンズ製人間がいっぱい。
チョイスしている頭部アイテムと、頭より下のフツーな人間との相性が絶妙でおもしろい。
それぞれのタイトルは「20番目の考え」とか「63番目の考え」というように「〇番目の考え」シリーズ。
「〇番目の××」というタイトル、若いころ流行ってたわ~。
フォロンの影響だったのかな?

シュミラクラの写真

無題 いろいろ

シュミラクラの写真がたくさんありました。
フォロンも好きだったのか…私も好きです。
人間はみんな好きなのかな。

Olivettiの広告

タイピングしている人々がキーボードになってるイラストがおもしろい!

Lettera32すべての人にオリベッティを(1967)
キーボード部分拡大

線画のリトルハットマン(フォロンの絵に出てくるキャラクター)がキーボードの上を動き回る白黒の映像もありました。
おもしろかわいい。

風刺イラスト

1980年代には米ソ冷戦時代の皮肉な反戦イラストがたくさん。
今だったらソ連の部分は中国でしょうかね。
きれいな色で絵はおもしろかわいく、でも真剣に反戦。

もっと、もっと(1983)

広々空間イラスト

美しい色の地平線や宇宙や空がどこまでも果てしなく広がるイラストは一番多いパターンかもしれません。
そこにチラッとキュッとベタアイデアが盛り込んであるのです。
いいなあ。

「綱渡り師」の綱にハートのチャーム

わたしは以前からたむらしげるとフォロンは類似イラストレーターだと思ってるんだけど、やっぱり似てるわ!と再認識しました。
どちらも大好きです。


たむらしげる作品集


旅行イラスト

来日時のスケッチやイラスト入りの手紙もありました。
日本ならでは!シャチハタでの押印をイラストにとりいれてあったりして、ユーモラス。
絵はもちろんいいんですが、1970年万博時に来日し、お父さんに宛てた手紙の内容もおもしろい。

1970年、お父さんに宛てた手紙の一部

岡本太郎の名前を「サロウ・タカモト」、「タケモト」って一貫性なくぜんぶ間違ってる。
日本人の名前、難しかったんでしょうね。

モランディの国で(1996)

イタリアを「モランディの国」とよんで描いているのが印象的でした。
フォロンもモランディが好きなんですね。
モランディのモチーフである静物が地平線の向こうに並んでいて、尊敬(あこがれ?)が果てしなく広がってます。
マットなモランディの絵とは全然違うフォロンならではの透明感あふれる水彩画というのもすてき。

ひさしぶりに、それもまとめてフォロンの作品を見ました。
今見てもやっぱり好きでした。
珍しくグッズまで買ってしまったわ。

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン

会場:あべのハルカス美術館(あべのハルカス16階)
会期:2025年4月5日(土)~6月22日(日)
休館日:5月12日(月)
開館時間:火―金/10:00‒20:00、月・土・日・祝/10:00‒18:00  ※入館は閉館30分前まで
観覧料:一般1,900円、大高生1,500円、中小生500円

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