京都・東京、そして男性画家中心だった日本で、女性画家が活躍できた商都大阪…っていうことも大事な展覧会なのかな。
女性画家たちの大阪
モネ展で大賑わいの大阪中之島美術館ですが、「女性画家たちの大阪」はゆったり見ることができます。(混んでない)
中之島美術館で開催される日本画展でおなじみ、島成園を中心に展示されています。
堺うまれの島成園が大正元年に20歳で文展に入選したことがキッカケとなって女性画家が活躍するベースができたそうです。
つづいて若い女性画家がどんどん誕生します。
絵画制作に関してはうっとうしいシガラミのない商都・大阪っていうのがよかったんでしょうか。
島成園
大阪中之島美術館のコレクション「祭りのよそおい」がどっかんと展示されています。
お祭りの日に晴れ着とリボンで着飾った女の子3人が店先の縁台に座っています。
ひとりの子のキレイな草履が片方脱げてころがっています。
無頓着なのね。
そして3人のうち1人はちょいと地味目の晴れ着を着ている。
少し離れたところに立っているハダシに草履、地味な着物を着て頭に野の花をつけた女の子がいます。
ちょっと下向き加減で晴れ着の3人の方を見ている。
見たとたん貧富の差が目につく切ない絵。
この子どもたちは何を思っているのか。
「無題」という作品は描きかけの絵の前に作家本人が前を向いて座っている絵。
顔にあざがあります。
島成園の顔にはあざはなかったそうなので、敢えて描いてるんですよね。
何を思っているのか。
他にも独特の美人画を中心に島成園の作品がたくさん展示されていました。
実体のない「絵」1枚で、映画みたいなストーリーを提示されてしまうのであります。
この作家は28歳で結婚して、夫の転勤についてあちこち転々とし、スランプに陥ったそうです。
華々しくデビューした割には生涯細々と制作を続けられたという印象です。
細々でも長く続けることは大変だし偉大な画家だと思いますが、家庭を持った女性がコンスタントに活躍し続けるのは困難だったんだろうな。
その状況が100年後の今もあまり変わらないって………。
島成園以外の作家
島成園、岡本更園、木谷千種、松本花羊の「女四人の会」、女性画家による南画や花鳥画などの展示があります。
それから大正~昭和に活躍した女性画家作品の展示。
「日本画といえば」な典型的イメージの作品が並びます。
前半は撮影禁止ですが、このエリアは撮影OK。なんで?
むかしながらの日本画は線、形、空間、絵肌…隅々まできもちいい。
展示室に、昭和前半の女性画家たちの集合写真がありました。
名前のわからない人がいっぱいおられる。
わかる人がいたらお知らせくださいってかいてあります。
第二次世界大戦もあったし、画家を長く続けられた人が少ないんだろうと思われます。
当時に比べると状況はよくなっているだろうけど、女性が画家として自立するのはいまだにかなり大変だと思う。
わたしが死ぬ頃にはどうなっているかなあ。
序の舞 (中公文庫 A 108-6)
女性画家たちの大阪
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
会期:2023年12月23日(土) – 2024年2月25日(日) 月曜日休
時間:10:00 – 18:00(入場は17:30まで)
料金:一般 1800円 高大生 1000円 中学生以下 無料
コメント
コメント一覧 (2件)
リビさま
「祭りのよそおい」は、以前テレビで見たのですが
なんとも切ない気持ちになりました。
余談ですが
先日、末娘が大原美術館に行ったんです。その時にとても好きになった作品があって、お土産にポストカードを買おうとしたけど、作品との印象が違いすぎて買うのをやめたと言っていました。
どの作品も 今にも動き出しそうな、柔らかな線と 着物の美しさに惹かれますが
実物はどれだけ鮮やかで、どう感じるのだろうと思います。
やっぱり自分の目で作品を見るのは大事だと改めて思いました。
リンゴとコトリさま
コメントありがとうございます。
ポストカードはポストカード用に起こしたデザイン(絵、イラスト)で作るべきだし、
グッズはそれぞれ用に起こしたデザインで作るべきだと思っています。
たまたまグッズにぴったりの芸術作品があるかもしれないけど、美術館の売店はなんだか…。
個人の感想です。