【京都芸大作品展】広い新キャンパスでの作品展、全部見るのに時間かかります。

京都芸大
京都芸大 F棟、E棟

10月に沓掛から京都駅近くの崇仁地区に移転した京芸。移転後初の作品展です。

目次

京都市立芸術大学作品展

京都芸大の作品展は一般的にこの時期開催される「卒業制作展」ではなく全学生の作品展です。
京都駅の近くに移転してはじめての作品展。
塩小路通りに面して、高倉通から鴨川まで広がる学舎。
キャンパスの中を高瀬川(小川みたいな細いやつ)が流れています。

京都芸大

C棟~I棟、ビル間の移動に時間がかかってへとへとになります。
内部は迷路みたいになっているし、「こんなところにも?」ってところに作品があったり、「これ作品だったの?」というのがあるので、1日で全部じっくり見るには体力と集中力が必要。
わたしは油画と版画中心に見るつもりで出かけました。


京の美都の響―京都芸大百三十年の歩み

油画

まとまったエリアで見られるわけじゃなく、作品はあちこちに点在しています。
タブローあり、インスタレーションあり。
1年生(基礎)の静物画は単にものを並べて描くのではなく、自分なりに静物画って何なのかを考えてモチーフを選んで描いたものでした。
おもしろかっただろうな。
基礎以外は全体的に1980年代~1990年代のイラストみたいなのが多い印象です。
東京藝大もそんなんだったし、流行りなんでしょう。
大学院生の作品は見応えがあって、展示室(制作室)が混んでます。

写真で見ると面白さが半減すると思いつつ…写真撮ってしまった。
床から天井までの大きな作品

制作室に金属色の大きなダクトが見えています。
これはおしゃれ配管なんでしょうか?

おしゃれ配管?

版画

版画エリアは作品を見るというより制作室を見ることになってしまいました。
ワンフロア全部版画エリアなんだもの。
各制作室も広い。
プレス機のおいてある部屋は工場みたい。
南側の制作室の窓からは新幹線、東海道線、奈良線と3つの線路が見えます。
マニアの人はうれしいかも。

広いリトグラフ~銅版エリア
石版石

リトグラフに使う石版石が棚に並べてありました。
天然の石灰石です。
国内では採石されておらず、生産地(ドイツ)が輸出を禁じているので、日本国内の石版石は現存のものを使い切ったら終わりだそうです。
油に反応するので表面を素手で触ってはいけないのですが、触ってもいいサンプル版が置いてあります。
持ちあげてみました。
なんて重たいんだ。
小さいものを両手で持つのもナンギします。
制作することを考えると軽いアルミ板やジンク板の方が作業効率がいいですよね。
100年前はまだ石版が商業印刷に使われていたのに、今や版がいらないオンデマンドの印刷物も多い。
芸術としての版画とは関係ないけれど、印刷って気軽になったもんですねえ。

シルクスクリーンの部屋も広くてきれい。
整頓されているから広く見えたのかも。
そんなですが、使っている刷り台は昔のままです。
大きい作品を作る時、版画用紙が版にくっつかないよう台に吸いつける刷り台があります。
天板に小さい穴が沢山あいていて、天板裏にバキュームの機械がついている。
むかしはみんなこの便利な刷り台が使いたくて合評前や作品展前は争奪戦でした。
まだ使ってる…と思ったら、穴が全部ふさがってました。

バキュームつきのシルクスクリーン用刷り台
ふる~い刷り台の向こう、キレイに整頓されたシルクスクリーンの作業台
スキージーもきれいに並んでます。

キャンパス内のほっそい高瀬川を渡って鴨川沿い、キャンパスの果て、彫刻棟にゆきました。
見て笑うおもしろ~い作品が何点かありました。
がたんごとんと回るオブジェの中からまさかの人間がでてきたり、厚い本が高速でブンブン回る装置があったり。
疲れていたから笑ってしまったのか、ホントに笑わす作品だったのか。

山の中のキャンパスから街なかのキャンパスに。
いままでとは違う作品ができそうな、シン京都芸大でした。


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