昨年の東京都美術館につづいて、またまたマティス展が開催されてます。
マティス 自由なフォルム
昨年東京都美術館で見たマティス展はパリのポンピドゥーセンター所蔵作品中心の大回顧展。
あらゆる研究をしながらの形、線、色で構成された「色彩の魔術師」の油絵に圧倒されました。
今回の「マティス 自由なフォルム」は東京メトロ千代田線乃木坂駅6出口からそのまま行ける国立新美術館で、ニースのマティス美術館所蔵作品が中心です。
初期の絵、アトリエを主題とした作品、舞台装置や衣装デザイン・壁画の仕事、切り紙絵、ロザリオ礼拝堂と5つのセクション構成。
初期の油絵やマティスらしさ爆発の衣装はもちろんですが、メインの切り紙絵と墨によるデッサンはわたしにとってとくに見応えありでした。
筆描きデッサンは墨線だけの超シンプルで強~い形。
「木(プラタナス)」は友人宅に額入りのポスターがかかっており、見慣れたデッサンです。
はじめて見た実物はだいぶ修正のホワイトがはいっていて、紙が継ぎ足してあるからのりでしわしわ。
きれいなポスターしか見たことなかったから、筆で勢いよく描いて「はい、できました」という絵だと思っていました。
勢いよく描いたとしても、その後慎重に練り上げて仕上げるんですね。
デッサンですもんね。
マティスは大病をして体が不自由になったために切り紙絵をはじめたそうです。
車いすに座ったマティスの周辺にたくさんの色紙が散らばっている(置いてある)写真をよく目にします。
原田マハのとてもおもしろい小説「ジヴェルニーの食卓」にもそんなシーンが出てきたような…。
助手がガッシュを塗った色紙をマティスがはさみで切り、ピンで壁にとめて構成したそうです。
絵を描く時は輪郭線で形をとって色を塗っていくというのが一般的。
輪郭線の過程をとばしていきなり色を切り抜いて形にしていく方法にたどり着いたことでマティスの表現はまた新しく広がったそうです。
紙を切り抜いて形にしてくのって気持ちいいけれど、それがなぜかは深く考えたことなかった。
現実にはない輪郭をとらなくていいってことがあるのかも。
切り紙絵はマティスの到達点であり「デッサンと色彩の永遠の葛藤」の出口だということなんで、ぜ~んぜん重みが違うか。
以後、本、壁画、タペストリー、陶板、教会などあらゆるところに切り紙絵が使われています。
別冊文芸春秋の表紙にさえなっていました。
メインビジュアルになっている「ブルーヌードⅣ」は位置を検討する線がいっぱい引いてあります。
紙片にピンの跡がついていて、慎重にレイアウトしていることがわかります。
青い紙が何枚も重なっていて、近くからだと意外と立体的に見えるってこともわかりました。
研究に研究を重ねて沢山制作していると、勢いさえも計算してコントロールできるのか。
歴史に残るプロ中のプロはすごい。
撮影OKエリアで何枚か写真を撮りましたが、目で見て帰ろう!と思って途中でスマホを片付けました。
マティス 自由なフォルム
会場:国立新美術館 企画展示室 2E
会期: 2024年2月14日(水)~5月27日(月)
休館: 毎週火曜日※ただし4月30日(火)は開館
時間 :10:00 ~ 18:00※毎週金・土曜日は20:00まで※入場は閉館の30分前まで
コメント
コメント一覧 (2件)
リビさま
マティス展!先日放送されたアートシーンを見て行きたいなぁと思っていました!
切り紙絵も好きですが
「木(プラタナス)」も素敵💕
私もポスターが欲しくなりました🎶
でも、やっぱり実物を見たいです。
大阪近郊でも見る機会があるといいのになぁ。
リンゴとコトリさま
コメントありがとうございます。
そうなんです。墨のデッサンもすごいんです。
近くで気軽に見たいものです。
関西圏でのマティス展、楽しみに待ちましょう!