【シン・東洋陶磁―MOCOコレクション】リニューアル後はじめて東洋陶磁美術館に行きました。

東洋陶磁美術館
青花虎鵲文壺

改修工事で2年も休館していた東洋陶磁美術館。2024年4月からオープン記念特別展をしています。

目次

大阪市立東洋陶磁美術館

大阪市立東洋陶磁美術館は、住友グループからの寄付金で大阪市が安宅産業(1977年経営破綻)のコレクションを買い取って1982年にオープンした美術館。
大阪拠点の大企業が文化財に対して太っ腹でほんとうによかった。
ちなみに安宅コレクションのうち速水御舟の作品は、当時の住友銀行重役の依頼により山種美術館を運営する山種証券が買い取ったそうです。
安宅コレクションの他、イ・ビョンチャン博士(経済学)のコレクション、ファミマ社長だった沖正一郎さんの鼻煙壺コレクションなどもあって見応え満点です。
学問的なことは全然わかりませんが、職人さんが作られた陶磁器の美しさは一つ残らず抜群です。
見飽きることのないコレクションをいつでも見ることができるとてもありがたい美術館です。

リニューアルオープン

わたしは春のリニューアルオープンを楽しみにしていたんですが、なんやかんやで行くのが夏になってしまいました。
そういえば1982年のオープンも、当時のわたしはとても楽しみにしていました。
美術館オープンはわくわくしますねえ。

リニューアルオープンで目に見えてかわったのは明るくなった入口でした。
それに伴いカフェの場所も移動して明るくなった印象。(外から見ただけですが)
以前入口だったところがざっくりいうと出口になってました。
ロゴもかわってる。
そして新しい美術館キャラクターのmocoちゃんがお披露目されていました。

虎のmocoちゃん

猫にみえるけど、18世紀朝鮮時代の青花虎鵲文壺に描かれているトラだそうです。
コレクションの中には虎が描かれた壺が他にもありますが、どの虎も全然怖くなくてユーモラスです。
職人さんたちには虎がそんなふうに見えていたのかも。
照明も自然光に近いものにかわったそうです…自然で(?)わからなかったです

この美術館にゆく一番の目的は「青磁象嵌 童子宝相華唐草文 水柱」を見ることです。
シチュエーションや童子の表情とポーズがかわいい上、磁器表面の質感も象嵌のラインもたまらなく良い味。

重要文化財 青磁象嵌 童子宝相華唐草文 水柱 高麗時代・12-13世紀

この水柱がある展示室は高麗のすっきりした青磁が並んでいる一番好きな部屋です。
翡色青磁はどれも透明感やシンプルな形が美しく、エッジの質感が心地よい。

青磁 洗 高麗時代・12世紀前半

象嵌で柄がはいっているものは、独特の線や面に味があってとてもかわいい。
こんなのが家にあったら楽しいだろうなあ。

青磁象嵌 竹鶴文 梅瓶 高麗時代・12-13世紀

朝鮮時代の粉青白地象嵌 条線文 簠はジャン・デュビュッフェの絵みたい。

粉青白地象嵌 条線文 簠 朝鮮時代・15世紀

絵画を思わすと言えば、白磁 面取壺も。

白磁 面取壺 朝鮮時代・18世紀

白い色はもちろんキレイなんですが、下の方にモヤっとはいってる(入ってしまった?) 色の感じがモーリス・ルイスの絵みたいです。

昔の朝鮮半島の職人さんはすごい。
そんな人たちが日本に大勢渡来してくださったおかげで日本の陶芸が発展したんですよね。
ありがたいありがたい。

中国の陶器は国宝の油滴天目茶碗が目玉。

国宝 油滴天目茶碗 南宋時代・12-13世紀 

油滴天目は表面がラーメンスープ調でちょっと気持ち悪いのであります。
曜変天目までいくとさすがに美しい!と思うんだけど。

桑の枯葉が載った状態で焼かれた木葉天目は不思議で美しい。
この葉っぱ、デザインにおけるアクセント界の王なのでは?

重要文化財 木葉天目 茶碗 南宋時代・12-13世紀

開館当初からの売りであった「自然採光展示室」が健在で、国宝の飛び青磁などが展示されています。
この部屋で一番好きな青磁 水仙盆も定位置にありました。
底面から側面への立ち上がりがいい感じです。

青磁 水仙盆 北宋時代・11世紀末-12世紀初

イ・ビョンチャン博士のコレクションはバラエティに富んでいて興味深いです。
展示室では韓国人若者グループが楽しそうにおしゃべりしながら鑑賞しておられました。
黒陶 杯は新石器時代の中国のもの。

黒陶 杯 新石器時代(龍山文化)紀元前2600年-紀元前2000年頃

新石器時代?!ろくろで作った酒器?!情報はカンタンだけど、すごいことです。
専門の職人さんがいたんだろうか。
勝手にそれぞれが作ってたんだろうか。

朝鮮時代の白磁の明器、なんかかわいい。
明器というのは墓の副葬品だそうです。小さく可愛い置物じゃないんですね。

鉄砂 人物形明器 朝鮮時代・16世紀後半

小さくかわいいといえば、この美術館には沖正一郎の鼻煙壺コレクションがあります。
焼き物だけじゃなくて木とか石とかガラスとか材料はいろいろ。
「何も何も、小さきものは、みなうつくし」って言葉がアタマに浮かぶ展示コーナーです。

4~5㎝ぐらいの中にぎゅっと詰め込まれた世界がめちゃくちゃかわいい。
土、木、石、ガラス…地球から生まれてきた材料でこんなものができるなんて。
人間も含めて、自然はすごい。

左:象牙黒彩陰刻樹下人物文 鼻煙壺 右:象牙陽刻龍船文 鼻煙壺

日本の陶器コレクション展示室もあります。
力士のお人形や桃山時代の食器や江戸時代のおしゃれな鍋島など。
もちろんすばらしいんだけど、朝鮮や中国の銘品を散々見た後なので感動が薄くなってしいます。

ところで昔の陶磁器のキャプションには見たことないような難しい漢字が並んでいます。
これを見ると漢字はもともと絵だったんだなあと思う。

左:青磁印花 夔龍文 方形香炉 右:青銅 饕餮文鴟鴞卣

キャプションもおもしろい東洋陶磁美術館。
何年経ってもいつ行っても「あ~おもしろかった!」な美術館でした。

オープン記念特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」

会期:2024年4月12日~9月29日
会場:大阪市立東洋陶磁美術館
住所:大阪市北区中之島1-1-26
電話番号:06-6223-0055 
開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(9月16日、9月23日は開館)、9月17日、9月24日
料金:一般 1600円 / 大学・高校生800円

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