日本美術の鉱脈展@大阪中之島美術館

ルイ・ヴィトンのディスプレイがすごい

鉱脈を掘り起こして定着させていくという展覧会。長谷川巴龍パンチ強め。

目次

日本美術の鉱脈展

日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!は伊藤若冲と円山応挙が一隻ずつ描いた二曲一双の金屏風が目玉です。
たぶん。
ぐっと人が集まって熱心に見ておられます。
発注者が伊藤若冲には竹+鶏、円山応挙には梅+鯉とそれぞれお得意の画題を依頼したそうです。
それもすごいんだろうけど、このエリアでは円山応挙の弟子、長沢芦雪の絵がよかったわ。
たぶん今までに見たことのある、もこもこ子犬が9匹戯れるかわいい絵と七福神のごきげんな絵。
どこが円山応挙の弟子なんだ?と思ってしまうのびのび加減がすてきなんです。

明治時代のリアルな暮らしが描かれたイラスト(風俗画)、歴史画、正教者が仏教×キリスト教の独特世界を油彩で描いた宗教画、超絶技巧立体などありとあらゆるおもしろ作品がつぎつぎと出てきます。

この展覧会は写真撮影がほぼ不可。
おもしろいものは目に焼き付けるしかないのです。
いいことです。

素朴絵

興味深くて笑うのは「素朴絵」です。
完全素人が描いたのであろう室町時代の宗教・歴史イラストがかわいいのですが、長谷川巴龍作「洛中洛外図屏風」の下手くそパンチに太刀打ちできるものはありませんでした。
色の塗り方も雑だし何といっても建物の形がぐっちゃぐちゃ。
構成もかわってる。
どうすればこんなことになるの?
普通に金箔を貼った六曲一隻の立派な屏風っていうのもオカシイし、画家の名前がはっきりわかってるのもオカシイ。
キャプションにはご丁寧に「史上最も下手くそな洛中洛外図」って表示されていました。

茶の空間

展示室と展示室の間の休憩?スペースに、対照的な二つの茶室がありました。
加藤智大の「鉄茶室徹亭」は全アイテムが鉄製の重量級茶室。

加藤智大 鉄茶室徹亭
鉄茶室徹亭 にじり口の扉、錆びてます。

錆びてるところもあって、「侘び寂び」ならぬ「侘び錆び」ってことなんだろうか。
渋い。

山口晃の「携行折畳式喫 茶室」は新感覚の草庵茶室。
そのへんのおっさんがホームセンターの材料で作った物置みたい。

山口晃 携行折畳式喫 茶室

掛け軸は安っぽいコート紙製だし、茶釜はアルミのやかん、風炉はカセットコンロ。

カセットコンロとアルミのやかん

茶室の仕舞い方指示書も展示されていました。
かっこいい。

茶室の仕舞い方指示書

縄文の造形~現代美術

そして縄文土器諸々。
縄の柄がなくても縄文土器って呼ぶらしいですが、日本でみつかっている一番古い土器は16500年前、氷期が終わる前だそうです。
とんでもなく昔じゃないか。
土器ってめちゃくちゃ古いもんなんですね。
そう考えると日々使っている陶製食器って……

重要文化財 日本遺産 深鉢形土器(殿林遺跡出土 紀元前3000~2500年頃)

深鉢形土器の展示ケースにいろんなものが見えて面白い。
向こうにある安本亀八の木彫彩色「相撲生人形」、映り込む人々と後ろにある岡崎龍之祐の赤いドレス「JOMONJOMON」。

「ピース」してる女性がはりつけてある土器、おもしろい。

重要文化財 日本遺産 人体文様付有孔鍔付土器(鋳物師屋遺跡出土 紀元前3500~3000年頃) 

この展示ケースには正面壁に展示されてる会田誠の雑草の絵(火炎縁雑草図)、すぐ前にある西尾康之の巨大立体アルファ・オメガ、そしてチェックのシャツ着たおじさんが見えていい感じ。

会田誠の作品は六曲一隻の天井まである大きな屏風「電信柱、カラス、その他」も展示されていました。
画面に描かれているのは電信柱とカラス、そしてカラスがくわえている「その他」のちぎれた指やセーラー服の襟などなど。
地上はこわいことになってるんじゃないの?
ところでこの屏風は長谷川等伯の松林図屏風が原点だそうです。
遠目に見たら似てるのかなあ。
会田誠の作品はいつみても気持ち悪い。(敬意を払っています)

日本美術の鉱脈展、有名作家の作品ばかりだったので鉱脈発見!なのかどうかはわかりませんが、笑いもありの興味深い展覧会でした。
中之島美術館は同時にヴィトンのビジョナリー・ジャーニー展開催中。
混んでいます。

日本美術の鉱脈展
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
会期:2025年6月21日(土)– 8月31日(日)
休館日:月曜日、7/22(火)*7/21(月・祝)、8/11(月・祝)は開館
時間:10:00 – 17:00(入場は16:30まで)
開館延長日時:2025年7月18日から8月30日までの金曜日、土曜日、祝前日の17:00-19:00
観覧料:一般  1800円、高大生 1500円、小中生  500円

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