現代美術展ですが、Dr.ハインリッヒの漫才や天竺鼠のコントと似た感覚でおもしろいのです。
「有名な作品を展示する地下の美術館」国立国際美術館
というのはGoogleマップに出てくるキャッチフレーズですが、その通りです。
地下鉄四つ橋線肥後橋駅3番出口(アパホテルの下にでてくる)から西→北へ10分ほど。
京阪渡辺橋駅2番出口(中之島ダイビルの下に出てくる)から西→南へ、5分ほど。
梅田からは運動にちょうどいい距離、歩いて20分ぐらい。
真っ黒な大阪中之島美術館と楕円の大阪市立科学館にはさまれた、ステンレス鋼管の曲線がユニークな建物です。
入口は1階、エントランスは地下1階、地下2階と3階が展示室です。
特別展 感覚の領域 今、「経験する」ということ
地下3階でやっている、7人の現代美術家の作品展です。
入場のためチケットを提示するエリアにはもう既に作品が展示されています。
キャプションを読むのが面倒なので、音声ガイドを借りました。
特別展、コレクション展からいくつかの作品をピックアップして解説してくれます。
今村源 作品 きせい・キノコ
見上げると大きなきのこ、それにつながるぐにゃぐにゃくるくる大量の曲線(菌糸?)、ぶらさがる人。
それら全部が針金で作られています。
もとは宮城県の野外に展示されたものだそうです。
立体なんですが針金のぐにゃぐにゃが味のある手描きの線に見えたりもします
紙に描いた線の中に入る事はできないけれど、空間の中に描いた線の中には入る事ができるんですよ。
飯川雄大 作品 デコレータークラブ……読むとネタばれします
壁にハンドルがついており、それをまわすと横に吊るされているリュック(電車の中でよく見るデザインの!)が上下します。
リュックが上がりきるところに、どっかでみたことがあるようなないようなネコの絵がかいてある。
リュックが吊ってあるワイヤーがどこに繋がっているのかを見るため、人がまわしておられるときにワイヤーをたどって地下2階、地下1階、1階までおいかけていくと…
美術館の天井からぶら下がっているボストンバッグが上下していました。
こんなところに繋がっていたとは。
他に大きな壁を押す作品があり、同じタイミングでそこにいた人たち数人で、スタッフの方が「そのへんまでで」とおっしゃるまで押します。
そうするとまた横に茶色い壁が現れ、それを押します。というのを繰り返すのです。
ナニコレ。
壁を押し終わった隅にSONYのポータブルテレビがあり、他会場での展覧会の映像が流れていました。
そこで気づきました。
ちょいちょい壁際に置いてある様々なリュックは作品の一部だったんだと。
誰かがそこにリュックを下ろして作品を見ているのかと思っていました。
1階受付カウンター横にも置いてありました。
見てるだけでは気づかないけれど、これが持ってみるとめちゃくちゃ重たいのです(Very Heavy Bag)。
ナニコレ。
デコレータークラブとは擬態する蟹のことだそうです。
そのへんに落ちてるゴミとか、海綿とか海藻で天敵から身を守る。
ぱっとみただけでは蟹だとわからないそうです。
何ならわからないままゴミだと思うかもしれない。
今回体験した作品、ぜんぶそれと同じパターンでした。
そして気づきました。
飯川さんって、六本木の森美術館で見た「ピンクの猫の小林さん」の作者や!
美術館の狭い場所に巨大なピンクの猫が展示されていて、写真撮影OKなんだけどぜったいに全貌は入らないのです。
後で写真を見てもピンクの樹脂がうつってるだけで「なんのこっちゃ」ってなる作品。
地下3階の、ハンドル操作で上下するリュックが上がりきったところに描いてあった猫は「小林さん」でした。
ナニコレ、オモシロイ!
大岩オスカール 作品
世界中をまたにかけて制作していたけれど、コロナ禍、ロックダウンされたニューヨークで制作したという作品。
大波の中にゆれるコロナ禍の日常生活がカラフルに描かれているタブロー「Big Wave」。
白黒だけの20点組の版画作品「Quarantine(隔離)Drawing Series」。
最初の方は普通の風景画なんですが、だんだんありえない風景になっていきます。
デスク周りが海の中?なんだかよくわからない景色になっていたり、キッチンの床が畑に、冷蔵庫が牛小屋になっている景色だったり。
作品自体が目新しいわけではありませんが、中年の作家が今までになかった精神状態で制作していると思うと複雑です。
藤原康博 作品
ブルー系でどっかで見たことあるかも…な情景を描いた作品、もやもやします。
「あいだの山」という、ガンガンに木目が出た支持体の真ん中横長に白い山々が描かれている絵が印象的でした。
名和晃平 作品
光で硬化するUVプリント連作。網点がだんだん大きくなるような、線が集まる(広がる)ような。
UVプリントといえば小ロットでグッズが作れたりするイメージですが、そんなんじゃなくて、えらくかしこそう…。
伊庭靖子 作品
対象物を写真に撮って、それを大きなキャンバスに描いた光あふれる作品に加えて、映像作品が展示されていました。
つぶつぶの砂嵐みたいな画面で、目の焦点をずらして見るステレオグラムの映像。
わたしはこれが苦手で、うまく立体に見えないのでありました。
中原浩大 作品 Text Book
黒い布貼り表紙、横位置の大きな本が積み上げてあり、そのうちの一冊だけが見せてもらえます。
見開きの1ページにひとつ、大きな円がシルクスクリーンで印刷されています。
ページごとに色が違って、150ページあると言っておられたような…。
わたしが行った時は、スタッフの方が前の観覧者にページをめくって見せておられる最中でした。
手袋をはめて、自分でページをめくって見ることもできたようです。
ふだんの生活で色だけを抽出してみることはあまりないが、色ごとに人間が感じる感情があり、それに気づく作品だそうです。
え、それだけ?他にもっとあるはず。
わたしは自分でやらなかったけど、ページをめくって次々と何かが現れる(現れない)とか、紙を触ってどうかとか、見せてくれない本はどうなのか、とか……。
知らんけど。
と思いながら展示室を出ました。
現代美術展とお笑いライブは似ている
体験するタイプの展覧会、コントや漫才を見る感覚と似ています。
「そんなことどうでもいいやん」ということを掘り下げて見せてくれたり。
「え、そこ?」というところを違った視点で見せてくれたり。
ぜんぜん気づかなかった「おもしろ」を目の前に提示してくれたり。
伏線回収があったり、オチがわかったりわからなかったり。
もう一回見に行こうっと!
2022.2/8(火)~2022.5/22(日)10:00~17:00(入館16:30まで) 金・土は10:00~20:00(入館は19:30まで)
月曜日休(祝日の場合は開館し、翌火曜日休)
一般1200円、大学生700円、高校生、18歳以下無料(要証明)
コメント
コメント一覧 (4件)
「ナニコレ」(笑)
チケットがあるからとママ友に誘われて訪れたことがありますが、そのとき見た現代アートは私には難しく、頭の中がこの言葉でいっぱいでしたw
でも、Dr.ハインリッヒの漫才と似た感覚なら、何度か見ている間に、めっちゃ面白くなってくるのかもと思いました😆
リンゴとコトリさま
コメントありがとうございます!
何回もみてるうちにおもしろくなってきます。
何回見てもおもしろくないのもあります。
マンゲキにいくのと同じです。
今回のはおもしろいのでぜひです!
リビさま
ありがとうございます!
リベンジできるか自信はありませんが、会期中に是非行ってみたいと思います♪
リンゴとコトリさま
ぜひぜひです!