お笑い福祉士の友人(80+α歳)宅にほぼ月一で遊びに伺っています。訪問ついでに部屋の隅の空きスペースに飾る絵を持ってゆくことになりました。お客様もひとり、作家もひとりだけのゆる~いものです。
どんなものでもOK
もともと部屋の隅には、友人の妹さんの絵が飾ってありました。
妹さんはとにかく多作で、植物、食器、置物、靴…ありとあらゆるもののスケッチ、絵本の模写など、日々大量に制作されていました。
一昨年、妹さんが急にこの世からいらっしゃらなくなり、新作がなくなりました。
そこで空いてしまった壁にかける絵(写真でも何でもOK)を貸してくれない?とお声かけをいただいたのです。
新しい「ものを見る目」が必要
友人が言うには、人は「どうしていいかわからない、何をすればいいかわからない」というときは、とりあえず何かを作るといいそうです。
紙を切って輪をつくるだけでもいい。
そのへんにあるものの写真を撮るだけでもいい。
何か作るときにはぜったい工夫をしてしまうし、「どうしようかなあ」とあれこれ考えて多方向からものを見てしまう。
そういう「ものを見る目」が何歳になっても必要だと。
毎月壁に飾る作品をいれかえれば、家で新しいものを見てあれこれ考えることができる。
お宅の息子さんの作品なら学生時代から知っているし、変化していくのも楽しみだから、息子さんの絵を貸してくれない?というご提案でした。
息子が作ってチョイスしたものなら何でも、いつのものでもOKで報酬も有り、というとてもありがたいお話です。
ひとりの作家だけのレンタル
我が家の息子は、高校・大学と造形を勉強しました。
コロナ禍1年目に就職。
緊急事態宣言とともに配属になった東京にゆき、心の病で会社をやめ、1年で戻ってきました。
漢方を処方してくれる心療内科に通い、リハビリしながら制作をしています。
病院にいく頻度が減るにしたがって絵のスタイルもどんどん変わり、1年前と今とでは全く別人の作品です。
グループ展に参加できるようになり、アルバイトができるようになり…周囲の方々の温かい受け入れのおかげで、息子は少しづつ元気になってきました。
そこに絵画レンタルのお話をいただいたので、ありがたく3月からスタート。
つたない絵をかけてもらっています。
Win-Winだとは言われましたが…
友人は「わたしは毎月楽しめるし、息子さんにはいくらかお金がはいるし、Win-Winのいい考えでしょ」おっしゃいます。
しかしこれは完全に息子を応援するため友人がいろいろ考えてくださってのお申し出だと思います。
さらに。
現実的な親のわたしは、作家1本でいくなんてぜったいにむり!サラリーマンをしながら制作をするスタイルがいいのではないかと考えていました(います)。
この先どうなるのか全くわからないんだから、息子が今やりたいようにやればいい。
わたしが心配しても仕方がない。
と、考えてみれば当たり前のことに気づいたこの1年でした。
このことにわたしが気づくようにも、友人はいろいろ考えてくださったんだろうと思います。
ありがたい。
とつくづく思いながら、いただいた山本山の海苔せんべいをぱりぱりいただきました。
おいしい。
あれもこれもありがとうございます。
わたしも80歳になったときには、友人のようになっていたいものです。
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