「よるくま」「金曜日の砂糖ちゃん」などでおなじみ絵本作家の酒井駒子さん個展が兵庫県立美術館で開催されています。暗めトーンの絵とあったかいお話で独特の世界を作り出される作家さんです。
絵本作家 酒井駒子さん
作家さん自身のプロフィールを気にしたことがなかったので、はじめて知りました。
1966年生まれ。キクロンAと同じじゃないですか。
東京藝術大学油絵科を卒業された兵庫県出身の方でした。
地元での大規模個展なんですね。(巡回展ですが)
みみをすますように 酒井駒子展
ギャラリー棟3階に階段であがります。
エレベーターもどこかにあるとは思うのですが。
チケットを買ったら、スタッフの方が「最初の部屋は写真撮影していただけます」とおっしゃいました。
森の中のような展示
入ったらまず「森のノート」の原画を大きく伸ばしたパネルが展示されています。
森のノート (単行本)
展示室は、森の木々の間をめぐるように木製の展示ケースが配置されています。
壁面の展示も板がベースになっています。
木の匂いがし、森の音がきこえるきもちのいい展示室です。
原画だけでなく、かわいい靴とかおもちゃなんかも展示されています。
「ある日」「ひみつ」「こみち」「はらっぱ」「こども」「くらやみ」と、ボール紙の箱の中にタイトルが表示されています。
酒井さんの原画は普通の白い紙だけでなく、段ボールに描かれているものもたくさんあります。
白い紙であってもまず黒ベタでベースを作って、その上に描いてあります。
昼間の情景が描いてあっても、ベースの黒が見えています。
独特の切ない雰囲気は、この方法によるところもあるかもしれません。
BとIとRとD (MOEのえほん)
展示室の中に専用の展示室を作って「よるくま」の原画が展示されています。
よるくま
大きな長い展示台が食卓テーブルのようにどかんと置かれていて、椅子もあります。
座ってじっくり見ることもできそうです。(誰も座っていなかった)
「よるくま」はベースに黒ではなく白が敷いてあり、絵のタッチもキャラクター調。
楽しいお話だけど、やっぱりなんだか切ない。
「子どもがかわいすぎて切ない」とか、「天気が良すぎて切ない」とかいう気持ちを絵にしたらこうなるって感じです。
ドアのところに立っているよるくまは涙が出るぐらいかわいい。
よるくまクリスマスのまえのよる
映像を見る、本を読む
小さなスペースで「ゆきがやんだら」の映像を見せてくれます。
木のスツールが置いてあり、本棚があり、その場で読むことができます。
映像もいいけれど、やっぱり絵本をめくって見るほうがいいです。
絵も、壁面や展示台で原画を見るより、絵本で見る方がいいです。
ゆきがやんだら (学研おはなし絵本)
めくりながら見るための、印刷することを前提とした絵を描いておられるからでしょう。
プロはすごい。
ねずみ色のボール紙に白と黒で描かれた「くまとやまねこ」は、絵本では絵がなくて文字だけのページがあります。
原画は白と黒だけですが、印刷時に色指定でうすい黄と赤をいれたところがある。
この絵本は、大人が読んだらほんとに泣くやつです。
原画も見たらよけいかも。
くまとやまねこ
最初は立ち読みしていましたが、結局スツールに座って何冊も読んでしまいました。
「めちゃくちゃ絵が上手」が存分に活かされて、せつなくてあったかい酒井さんの絵本。
感動でございます!
みみをすますように 酒井駒子展
会場:兵庫県立美術館 ギャラリー棟3階
会期:2022.7.9(金)~8.28(日)
休館日:月曜日(7.18は開館)7.19(火)は閉館
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
観覧料:一般 1500円、高校・大学生:1100円、小・中学生:500円
※ペア券や親子券もあります。(おトク)
関西の80年代
ほんとうはバイト帰りに「関西の80年代」を見に行こうと思っていました。
「関西ニューウェーブ」の先輩たちのなつかしい作品。
途中でもっと心に優しいものを見たくなり、メインを同時開催中の酒井駒子展に切り替えたのでした。
時間があれば80年代も見よう、と。
すると10日から18日まで「ひょうごプレミアム芸術デー」というのをやっていて、無料で見せてくれました。
酒井駒子展で感動したあとだったので、だいぶあっさり見て歩きました。
そんな中、数人の顔写真を埋め込んだ絵の中に、ずっと前に亡くなった知り合いの明るい顔をみつけました。
みんな若くて元気だった80年代がよみがえりました。
特別展 開館20周年 関西の80年代
会場:兵庫県立美術館
会期:2022.6.18(土)~8.21(日
休館日:月曜日(7.18は開館)7.19(火)は閉館
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
観覧料:一般 1500円、大学生:1100円、高校生以下無料
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