【京セラ美術館】 森村泰昌「ワタシの迷宮劇場」は迷路のような展覧会でした。

迷路のような展示室

「わたしの迷宮劇場」は京都市京セラ美術館開館1周年記念展です。記念展だけあって新館東山キューブで、ビシビシに企画されたとても完成度の高い展覧会でした。迷宮でホントに迷いました。

目次

大橋一弘展 ふりゆくみ ~ふりつむひ 第二章

ママ友の高校時代の同級生、大橋一弘さんの写真展を見に東洞院五条下ルCommunity Lab N5.5に行きました。
KYOTOGRAPHIE(毎年京都で行われる写真祭)参加の展覧会です。
目の端でちょっと気になるけど通り過ぎるような場所を、取りこぼさず撮影したモノクロ写真。
印画紙の鈍い光沢と写真の暗めの色が、町屋のそっけない白い壁にマッチしていました。
ざらざらした気持ちになる写真です。

大橋さんは多彩で、俳人でもあります。
ギャラリーに置いてある俳句雑誌にはエッセイも投稿されていて、読みかけたけれど漢字が難しくてすらすら読めず。
「漢字が難しくて本が読めない」なんて、大人になってこんなことある?!

森村泰昌 ワタシの迷宮劇場

絵画作品、写真作品、映画…さまざまな作品の中に自分が入り込んだ自画像を制作しておられる現代美術家 森村泰昌さんの個展。
「ワタシとは何か」がテーマだそうです。


学生時代の先生なので以下通常の呼び方で「森村先生」

改装前「京都市美術館」だったころは作品搬入口だった裏口がきれいな入口になった東山キューブにて。
チケット売り場の人に「ペアチケットならおトクですよ」と勧められ、ひとり2000円のところ1850円で入場しました。
入場したら、無人朗読劇がもうじき始まるとのことで指定の場所で待機。

無人朗読劇《影の顔の声》

森村先生が自作短編小説を朗読される27分間のサウンドインスタレーション。
鑑賞者は一列に並んで「声の劇場」という暗い部屋に案内され、着席します。
真ん中に四畳半の畳敷き舞台があり、その中心に陶器(磁器?)の香炉。
よい香りがほのかに漂っていましたが、香炉からではなかったような気がします。
部屋が真っ暗になり、アインシュタイン河井さんに勝るとも劣らないキツい関西弁でわけのわからない怪奇小説が朗読されます。
急に光ったりまた暗くなったり、声が大きくなったり穏やかになったり…。
眠たくなったり目が覚めたり、このにおいはあの美術館のあの部屋ににている…と思い出したり。
こちらの感覚フル稼働のインスタレーションでした。

M式写真回廊《ワタシの迷宮劇場》

会場にぐるぐると迷路を作るように天井からカーテンが吊り下げられています。
そのカーテンにすごい数の写真が展示されています。
ひきのばしたガッツリ作品ではなく、ポラロイドで撮ったサンプル写真のようなものばかりでした。
過去に見た個展のメイキングをみているような感覚です。

たぶん毛沢東

レオナルド・ダ・ビンチやデューラーなど有名作家の自画像に入り込んだものあり、
マネの笛を吹く少年やフェルメールの真珠の耳飾りの少女のような人物画になったものあり、
原節子やオードリーヘップバーンなど女優になったものあり、
漫画の登場人物や漫画家になったものあり、
ヒトラーやマッカーサーなどの軍人、昭和天皇になったものもありました。
人間じゃないけど人体模型になったものや、誰に、何になっているのかわからないものも多数。

あれ?ここ見たっけ、あ、見た見た。
これは?見てないか。
あれをもう一回見たい。
と行ったり来たりしているとどこにいるのかわからなくなってまたウロウロ。
タイトルどおり、大量のワタシ(森村先生)がおられる迷宮で迷いました。

衣装の隠れ家

撮影で使われた衣装や資料がカーテンの隙間から見られるようになっています。
中には入れないので本当に隙間からのぞくだけ。
ママ友もわたしもおもわず「こわっ」と言っていました。
へんな気持ちになるインスタレーションです。

夢と記憶の広場《夢と記憶が出会う場所》

映像のインスタレーションがあったのですが、見逃しました。
ぐるぐる回って閉館時間になったこともあり…。
悔しいなあ。

空装門

展示室への入り口が5つあります。
迷宮門、烈火門、だぶらかし門、鏡影門、空装門。
グレーのカーテンが四角く切り取られたような門で、どこから入ってもどこから出てもいいのです。
人によって順路がかわるということです。

テキトーに切り抜いたような門

この門から見える中の展示風景がめちゃくちゃかっこよくて、つくづく完成度高いなあと思いました。
美術館がまもなく閉館ですという放送とともに空装門から出ました。
美術館の外に出ると、今の季節ならではの東山のまだらな緑が見えました。

まだらな新緑の山

ふたつの展覧会

素っ気ない町屋で展示しておられた大橋さんの白黒写真。
東山キューブで、完璧に作りこんで展示しておられた森村先生の写真。
ぜんぜん違う、とてもいい、ふたつの展覧会でした。

京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌「ワタシの迷宮劇場」
会期:2022年3月12日~6月5日 月休(祝日の場合開館)
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
時間:10:00~18:00 (入場は17:30まで)
料金:一般 2000円 / 大学・高校生 1600円 / 小・中学生 800円 / 未就学児無料

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